自動車のライトや自転車のヘッドランプはLEDが使われることが多くなっています。
自転車のLEDライトは小さい割に明るく、眩しく感じます。
ライトの方向が人の顔の方向を向いているわけではなく、前方斜め下に向いているに
も関わらず眩しく感じます。
これはライトの正面の明るさに対して、例えば±45度の方向まで明るさが大きく減衰
していないためです。
以下のグラフは、豊田合成のENB01_NHSD7-F1の配光特性です。
±45でも正面の70%の明るさがあることがわかります。
ただしこの特性は以下の写真のようにLED単体の場合です。
ENB01_NHSD7-F1 単体
正面に対して±90度の範囲の明るさを評価した特性のことを配光特性と言います。
自動車では、ハイビームでは非常に眩しいですが、ロービームでは自転車ほど眩しく
感じません。自転車では自動車ほど厳密に配光特性が制御されていないものと思われます。
自転車のライトでも、歩行者が眩しくないように、配慮した配光設計がされること
が期待されます。
以下のグラフは同じく豊田合成のENB01_NHSD7-F1の分光特性です。
紫色から赤色まで発光強度に大きな変化がなく、太陽光に近い分光分布であること
がわかります。
また次のグラフは日亜化学のNSSW157xの配光特性と分光分布特性です。
NSSW157x 単体
配光特性は両者でほぼ同じですが、分光分布は大きく異なります。
NSSW157xの場合は通電することで発光するLEDは450[nm]にピークのある
青色LEDです。これが発光することにより、LEDのケースに塗布されている
蛍光体を励起し、補色の黄色を発光させます。もともとの青色と蛍光体の黄色
が混合され、白色に見えるようになります。
黄色の蛍光を強くすると、550[nm]付近のピークが大きくなり、黄色味が
強くなり、暖色系の白になります。反対に蛍光を弱くすると二番目の山が低
くなり、青白い寒色系の白になります。
シミュレーション
今までの話はLED単体で光らせた時の特性です。
レンズや反射板を用いて特定の方向に強い光を放射し、それ以外は急速
光が弱まるような配光特性を作ることができます。
この時に役に立つのが、シミュレータというソフトウェアです。
レンズや反射板をLEDの周りに実際に配置して、配光特性を測定し、
望む特性が得られるまで以下の内容を繰り返すのがシミュレータの
ない場合です。
シミュレータを使用する場合は、ソフトウェア上で光学系を作成し
配光の評価を行うことができます。
ソフトウェア上で配光特性が決まったら、最後に実際に配光特性を
測定し、シミュレータでの評価が正しいことを確認します。
実際に測定を行って問題が無ければ終了となります。
光学部品メーカーは、主要なシミュレーションソフトウェアに入力できる
部品データを用意していることが多いです。